2005年12月29日

【日記】映画『THE 有頂天ホテル』試写会

先日、テレビで三谷幸喜監督の新しい映画『THE有頂天ホテル』の紹介をやっていて、
(ああ……見てみたいなあ)と思っていたところ、試写会の案内が番組の最後に流れました。もちろん抽選で○○名をご招待、というものだったので、当たらないだろうなあ、と思いつつもとりあえず応募。

すると、クリスマスイブになんと招待状がどといたではありませんか。らっきー。『有頂天ホテル』試写会招待状

というわけで12月26日(月)、静岡東宝会館に出向いてきました。結論から申し上げて、観て「損した!」ということにはならない映画です。オススメ。

三谷監督らしいシチュエーション・コメディ。大晦日カウントダウンパーティ直前のホテルを舞台にした、様々な事情を抱えたたくさんの人物たちによる、笑いのスクランブル交差点、という感じの映画です。主な登場人物だけで20名以上、そのキャラクターたちがホテルのあちこちですれ違いながらドラマが構築されていきます。

大量のキャラクターを出しすぎたせいで、やや散漫になった印象はありますが、テンポの良い笑える展開から、最後にはすこしほろりとさせるあたり、さすがの三谷ワールド炸裂といったところです。あまり難しいことを考えず、あはははーと新年から笑いたい人に観ていただきたいですね。

さて、この試写会を観に行った後、風邪を引いてしまいました。原因はたぶん、映画館の空調。

「寒かったの?」

いいえ、逆です。もんのすごい暑かったのです。そもそもがんがんに暖房してあったんですが、ゴンザが腰をすえたのは2階席。暖気は上に上ってくるので、その一角は異常な熱気に包まれてしまうんですね。

ワイシャツの第二ボタンまではずし、Lサイズのジュースを片手に、クリアケースで顔を扇ぎながら2時間を過ごしてしまいました。夏の甲子園観戦か。

そこから一気に寒い師走の町に出たせいで、身体のバランスが崩れてしまったようです。しょうがない。風邪を何とか治してから帰省するか、とヘコんだ年末を迎えております。

とりあえず、このブログの更新は今日が最後と思われます。
みなさま、良いお年をー。
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2005年12月24日

【ネタ】銀盤の新女王

トリノ五輪を前にフィギュアスケートが熱いです。前回のフィギュアスケートGPでは、新星・浅田真央が女王の座に駆け上りました。年齢制限により、トリノ五輪に出場できない彼女には、多くの同情の声が寄せられたそうです。

それはともかく、浅田真央ちゃんを『ジャンクSPORTS』で初めて見てから、どうも頭にひっかかっていることがありました。それがなんなのか、最近判明しました。
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加護亜依 浅田真央 辻希美

どこかで実現させてほしい、違和感のないスリーショットです。
posted by ゴンザ at 00:21| 静岡 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | ネタ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月15日

【医療エッセイ】1-5『オープン・ザ・医療』

※これはゴンザが2002年に体験した医療の現場についての連載レポートです。できれば過去の記事からご覧下さい。


◆記事目次◆
1-1)『輪切りの私』
1-2)『白衣の天使は実在するか?』
1-3)『センセイになった日』
1-4)『こうじょうせん途中下車の旅』
1-5)『オープン・ザ・医療』(当記事)
1-6)『4つの管』

甲状腺癌の治療方法の主流は、外科的手術である。癌になっている部分を切除してしまうという治療が症例のほとんどを占める。

私もこの切除手術を受けることとなった。甲状腺全摘手術である。

東京の病院への転院後すぐ、病状と手術について主治医から詳しい説明を受けることになった。いわゆるインフォームド・コンセントというやつである。

┏【医療な言葉:インフォームド・コンセント】┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳
┣ Informed Consent
┣ 
┣ 「説明を受けた上での合意」。
┣ 医療の世界では永らく「患者は医者の指示に黙って従うもの」
┣ という考え方が支配的であった。
┣ しかし近年、医師の立てる治療計画について、
┣ 医師は十分な説明を行い、患者はそれを納得した上で
┣ 治療を受けるべきである、という考え方が起こった。
┣ これがインフォームド・コンセントである。
┣ 「開かれた医療」の根幹理念と言える。
┣ 
┗┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻

まだ30代と思しき若い主治医は、背の高い、自信にあふれた男だった。
ひとしきり甲状腺癌というものについて、そして私の病状について説明してくれた。

「比較的進行していますが、大丈夫です。
 甲状腺癌は怖いものじゃないですから。
 20年後の生存率も90%以上です。」

自分の生存率がパーセンテージで説明されるのは、なかなか複雑な気分である。

手術自体はさほど難しいものではないこと。甲状腺全体と、病巣が広がっている右首筋のリンパ節の一部を切除すること。また、右首筋の動脈の一本を切除することなどを医師は説明した。

首の動脈!? そんなん切って大丈夫なんかい!?と驚愕したが、医師によれば、一本を切除すると、他の動脈が太く成長して、失われた部分をきちんと補ってくれるのだそうだ。

「人間の身体って、良く出来てるんですよ。」
そう言われてしまうと、こっちとしてはもう「はあ。そうなんですか。」と返す以外ない。所詮は素人なので、最後の部分は医師を信用するしかない。ある意味においては、病院選び・医者選びの段階が、「インフォームド・コンセント」の最重要部分とも言えるだろう。

「では手術の合併症について説明しますね。」

┏【医療な言葉:合併症】┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳
┣ がっぺいしょう
┣ 
┣ 手術をすることで生じるマイナス面のこと。
┣ 事故的なものも含めての手術の危険性と、
┣ 結果として起こりうるデメリット、と考えればよいらしい。
┣ ちなみに、手術でなく「糖尿病の合併症」というような
┣ 文脈で使われる場合は「ある疾患に付随して起きる他の病状」
┣ という意味になるようだ。
┣ 
┗┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻

「えーと、まず手術後の出血です。
 手術後にですね、切った部分が中で出血を起こすと、首から顔のあたりがこうぱんぱんにはれてですね、危険です。
 これ死にます。」
 
 おい!
 
「まあ、これは起こる可能性は極めて低いですから大丈夫です。」

 先に言えよ!
 
「それから、声を出す神経を傷つける可能性があります。
 この神経は右と左にあるんですが、両方とも動かなくなると、呼吸が出来なくなってですね、
 これも死にます。」

 こらー!!
 
「まあ、今回はそこまでメス入れないで済むと思います。」

 だから先に言えって!!

    ◇
 
主治医はとても率直な人だった。説明は簡潔で、わかりやすかった。
欲を言えば、話の展開と言葉の選び方にもうちょっと工夫が必要なような気がした。

ビバ・開かれた医療。

【つづく】

◆記事目次◆
1-1)『輪切りの私』
1-2)『白衣の天使は実在するか?』
1-3)『センセイになった日』
1-4)『こうじょうせん途中下車の旅』
1-5)『オープン・ザ・医療』(当記事)
1-6)『4つの管』
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2005年12月06日

【医療エッセイ】1-4『こうじょうせん途中下車の旅』

※これはゴンザが2002年に体験した医療の現場についての連載レポートです。できれば過去の記事からご覧下さい。


◆記事目次◆
1-1)『輪切りの私』
1-2)『白衣の天使は実在するか?』
1-3)『センセイになった日』
1-4)『こうじょうせん途中下車の旅』(当記事)
1-5)『オープン・ザ・医療』
1-6)『4つの管』

「問題。『こうじょうせん』とは何?」
「甲府と上野をつなぐ電車?」
「残念。不正解。」

私は「甲状腺癌」と診断されたわけだが、甲状腺とはあまり耳慣れない器官である。

「あなたの好きな身体の器官をひとつ挙げてください。」という人気投票でも、上位には食い込めないだろう。そんなマイナー器官を患うのも、私らしいと言えるかもしれない。

甲状腺は「内分泌系器官」に分類される。分かりやすく言えば、ホルモンを作る器官だ。ヨードという海藻に多く含まれる栄養素を取り込み、新陳代謝をコントロールするホルモンを分泌するのが、その主な役割である。

場所は首。のどぼとけの下、食道に張り付くように存在する。しばしば「ちょうちょのような形」と形容される甲状腺を、「内蔵型蝶ネクタイ」と言ったらかなり過言だ。

甲状腺癌という病名はとてもマガマガしいが、その語感とは裏腹に、ごくまれなケースを除いて非常に進行が遅く、転移もしにくい癌だという。
そこで甲状腺癌はこう表現される。

『おだやかな癌』

なにやら『温厚なやくざ』のようで怖い感じもするが、要するに悪化しにくく、治療しやすい癌ということだ。

さて「ガン宣告」を受けたゴンザだが、数日落ち込んだ後、けっこうさっさと覚悟を決めた。こういう時、「なんで自分が」とか「もっと早く気づけば」などと考えたところで、なんの役にも立たないのである。

幸いにも命がどうのというような状況ではない。不安というのは、おばけといっしょで、正体がよくわからないと大きくなってしまう。状況をしっかり把握し、どんな問題があるのかをきちんと見据え、ひたすら現実的に対処することにした。

まずやったのは、現状を書き出してみること。トラブルがあったときは、それを目に見える形で整理してみるのが一番であり、ゴンザにとっては「書く」ということは自分を整理する最もいい方法なのである。

・自分は甲状腺癌という病気にかかっている。
・甲状腺癌は進行が遅いため、対処方法について時間をかけて考えることが可能である。
・現状、とくに身体に変調はない。
・早期発見とは言えず、ステージ2という状態まで広がっており、ほうっておいてよいレベルではない。
・患部の範囲からして、摘出手術がほぼ唯一の治療手段である。
・命に危険の及ぶ手術ではない。
・位置からして声を出す神経に傷をつけ、声が変ってしまう恐れがある。

ここまで書くと方針が定まってくる。「手術を受ける」それが大前提。ならば腕のいい医師に手術してもらうことで、神経に傷をつけるというリスクを低くするのが、患者としての最良の選択になる。

幸い、ゴンザには強い味方がいた。ゴンザの母方の一族は医者の血筋で、開業医はいないものの、医療研究や管理栄養士、薬剤師のたまごなどがごろごろいるのである。その中でも一番年の近いいとこは、ハーバードの助教授という経歴をもつ医療研究者で、当時ボストンにいた。彼に国際電話で相談を持ちかけ、よい病院を探してもらうことと、医者を紹介してほしい旨をお願いし、同時にゴンザ自身もネットなどを使って情報を集めた。

いとこ曰く、病院選びでまずあてにすべきなのは「症例数」だそうだ。

病院の質は、客観的に測りがたい部分がある。いい評判も悪い評判も、なかなか外に出てきづらい体質があり、また一口に病院の質といっても、手術がうまいとか、診立てが正確とか、心のケアが上手とか様々な側面があり、一概に数直線上に置くことはできない。

そんな中、病院を評価するうえで量的データとしてもっとも簡単なのが、ある病気についてどれくらいの数の患者を診てきているか、という「病院としての経験数」=「症例数」なのである。もちろん多けりゃ単純に安心、というわけではないが、病院選びの指針としては大きい。

特に手術の分野は、言ってみれば「職人芸」の世界なので、同じような手術をどれくらい過去に行っているかでその上手さがまったく違う。脳外科手術のような特殊分野でない限り、多少の才能より経験のほうがはるかに勝る世界なのだそうだ。

最終的に、いとこが紹介してくれた病院は、ゴンザが集めた情報とも一致する、甲状腺疾患を専門に取り扱う東京の有名な病院だった。いとこには、アメリカから方々の知り合いに手を回して、紹介状を作ってもらった。持つべきものは優秀な親戚である。ほんとにありがたかった。

こうして病院を選びながら、ゴンザは会社を休むことについての調整、甲状腺疾患についての勉強、保険の適用条件調査などを進めていた。多少精神的に揺れ動く時期もあったが、表面上かなり平静だったようで、後に「気丈なのにびっくりした」とか「病気を抱えてるのは知ってたけど、癌だとはぜんぜん思わなかった」とか言われたものだった。

当人にしてみれば、体調に異常はないのだし、やるべきことははっきりしていたので、変に考え込んでもしょうがない、というところだったのだが、この割り切り方も、ひょっとすると「医者の血筋」の成せるわざだったのかもしれない。

【つづく】

◆記事目次◆
1-1)『輪切りの私』
1-2)『白衣の天使は実在するか?』
1-3)『センセイになった日』
1-4)『こうじょうせん途中下車の旅』(当記事)
1-5)『オープン・ザ・医療』
1-6)『4つの管』
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2005年12月05日

【日記】予定日のはず。

ここ数日、このブログのアクセス数が妙に伸びております。ナンダナンダ。ナニガオキタ?と思って調べてみたところ、以前に書いた「川崎市民の常識」というネタへのアクセスであることが判明しました。この記事だけで1日4桁のアクセスて。あまりそういうのに詳しくないんですが、けっこう大きな「ネタ紹介系」のサイトで取り上げられたらしいです。

わあ。「面白い」っていうことで紹介されたのはうれしいけど、このネタ、川崎市民以外には、全く面白くないよ? 川崎を良く知る人ならば、いくつかの項目だけはツボにはまるかもしれない、というかなりのピンポイントネタだよ? 間違って見に来た人、本当にごめんなさいね。

それはともかく、今日12月5日は、予定日です。

なんの? ゴンザのおそらくは3人目の姪の誕生です。姉が今、北九州でお産を控えているんですね。現在ゴンザの母が、北九州までその手伝いに出向いております。

出向いておるのですが……あんののん気な鉄砲玉、まったく連絡よこしゃしねえ。なんのために行ってんだ。こっちが気ぃ遣ってむやみに電話とかしないようにしてるってえのに、行ったっきり梨のつぶてだ。たぶん家事をこなして、孫と遊んで、疲れて寝てって生活をしてやがんだろうけど、こっちも心配してんだ、電話のひとつくらいしたってよかりそうなもんじゃねえか。ぶつぶつ。

というわけで、ちょっとハラハラしながら現在仕事をしております。

3人目の「姪」と書きましたように、たぶんまた女の子。義兄はすごく男の子が欲しいようなんですが、どうもエコー検査などではナニがついていないようで。それにゴンザの一族は、もともと女系の一族で男が生まれる確率が25%を下回るんですねー。お義兄さんもかわいそうに。

とにかく無事に、健康に生まれてくれますように。
posted by ゴンザ at 11:07| 静岡 ????| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月02日

【医療エッセイ】1-3『センセイになった日』

※これはゴンザが2年前に体験した医療の現場についての連載レポートです。できれば過去の記事からご覧下さい。


◆記事目次◆
1-1)『輪切りの私』
1-2)『白衣の天使は実在するか?』
1-3)『センセイになった日』(当記事)
1-4)『こうじょうせん途中下車の旅』
1-5)『オープン・ザ・医療』
1-6)『4つの管』


残暑厳しい9月半ば、私は清水市立病院に来ていた。東京の病院への転院手続きのためである。

具体的には、検査結果一式をもらうのが目的だ。
検査データ、撮影画像フィルム、主治医所見、紹介状などを、ボール紙でできた大きな書類入れに入れてもらった。

こういった資料を外部に貸し出してもらうのは、昔はなかなか大変だったらしいが、転院やセカンド・オピニオンの一般化により、最近はかなり簡単に出来るようになっている。

┏【医療な言葉:セカンド・オピニオン】┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳ 
┣ second opinion

┣ 日進月歩で研究の進む医学界では、1人の医師、1つの医療機関が
┣ 全ての病気と治療法に精通するのは、現実的に不可能である。
┣ 故に現在の主治医だけでなく、他の医師の意見も求めた方が、
┣ よりよい治療法に結びつく可能性が広がる。
┣ この他の医師、他の医療機関の意見というのが
┣ セカンド・オピニオン、すなわち、第2の意見である。

┗┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻┻

資料の中には私の一部も入っている。
しこりが見つかった首筋の組織を採取し、プレパラートにした「組織切片」といわれるものが入っているのである。

文字通り、「私の一部」である。
そして私の感覚では「なまもの」である。

これをもらう時、私は聞かずにはいられなかった。
「あの……これ……保存方法とかは……?」

書類を書いていた看護婦さんは、プレーリードッグのようにひょこりと顔を上げ、しばし私と見つめ合った後、そのままの体勢で声をあげた。
「先生ー、これ冷蔵庫とかに入れといたほうがいいんですかー?」

グッジョブ、ナース。
直球すぎる表現に疑問は残るが、それこそ私の聞きたかったことだ。
自分の細胞がいつの間にか腐ってたりするのはとてもイヤなことだ。
しかし家の冷蔵庫の中で、「ユン家のキムチ」と使いかけのベーコンの間にあるのも、それはそれでとてもイヤだ。

ありがたいことに、先生は笑って、
「ああ、大丈夫大丈夫。ちゃんと処理してあるから、常温で。」
と言って下さった。

よかった。たぶん塩漬けにでもしてあるのだろう。

       ◇

重くはないが、その大きさゆえに持ちにくい検査データ一式を抱え、私は病院前からタクシーに乗り込んだ。
「清水インターの高速バスのバス停まで。」

ふー。シートに沈んで外を見る。

正直に言うと、1週間ほど前、自分の病名を告げられた時は動揺した。

甲状腺癌。

ガン? え? 俺ガン患者?
甲状腺? 甲状腺ってなに?

横で身じろぎする両親の気配を感じながら、医者の言葉を混乱する頭で聞いていたのを思い出す。
2〜3日は色々余計なことを考えて、食事もなかなかのどを通らなかったし、眠るのも難しかった。

が、周囲の協力を得て情報を集めたところ、この病気が、病名の印象ほどには危険なものでないことを知り、かなり落ち着いてきていた。

これから転院する病院が、甲状腺癌にかけては日本で指折りの病院であることも、私の安心の助けとなっていた。

(まあ、なんとかなるだろう。)
自分の神経が意外に図太いことを発見して満足していると、運転手さんが話し掛けてきた。

「珍しいですねェ。今日は新幹線じゃあなくて、東名バス使うんですか?」
「え? ええ。これから行くとこが、バスのほうが都合いいんで。」
「そうですかー。」

? 「今日は」? 「珍しい」?
ここからタクシーに乗るのは、初めてなんだけど。
初老の運転手さんの横顔を見ながら、首をかしげた。

「何分のバスに乗ります?」
「えーと、2時15分の東京行きです。間に合いますよね?」
「んー。今の時間なら、大丈夫でしょう。5時過ぎると混んじゃうからわかんないけど。」
「なるほど。」
「東京ですかー。やっぱりお仕事ですか、センセ。」

? 「センセ」って言ったか今?
なんだ? 「ダンナ」みたいな意味か?

「ええまあ……」というような曖昧な返事をしていると、運転手さんはため息をつくように言った。
「大変ですねえ、センセも。」

ここに至って私にもようやく飲み込めた。どうやらこの運転手さん、私を医者だと思っているらしい。

そうか。
Tシャツにチノパンというラフな格好。
抱えた大きな書類ケース。
そして全身から匂いたつ知性。

これらの要素から、運転手さんが私を医者だと勘違いしたとしても、
誰が責めることができようか。
いや誰にもできない。(疑問・反語)

「最近はあれですか、やっぱり患者は年寄りばっかりですか?」

運転手さんの夢を壊してはいけない。私は夢の守り人として振る舞うことを即座に決めた。

「そうですねえ。やっぱり多いですねえ。
 まあ、病院が集会所になってるような部分もありますから。」

「ははぁ。今日はあのじいさん具合が悪くて来てないよ、
 ってやつですか。」
 
「そうそう。
 病院の一つの役割だ、とも言えるんですが、
 それで重い病状の人が待つことになってはねえ。」

「まったくですねえ。」

積極的な嘘はつかない、というコンセプトのもと、転院していく私と運転手さんのニセ医者トークは、ほのぼのと残暑の空に吸い込まれていったのであった。

【つづく】

◆記事目次◆
1-1)『輪切りの私』
1-2)『白衣の天使は実在するか?』
1-3)『センセイになった日』(当記事)
1-4)『こうじょうせん途中下車の旅』
1-5)『オープン・ザ・医療』
1-6)『4つの管』
posted by ゴンザ at 17:59| 静岡 ????| Comment(3) | TrackBack(0) | 医療エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月01日

【レビュー】ニューバランス MW1201

先日、表参道の病院に退院後検査のために行ってきました。そこで医者に言われたことは「経過良好」。

前々回の治療が功を奏したようで、患部が小さくなっているのが確認されたそうです。また、血液検査も正常値に近づいているので、薬が徐々に減らせそうだということでした。やったね!

というわけで、病院でテンションの上がったゴンザは、その足で東京を遊びまわってしまいました。最初に向かったのが原宿にあるニューバランス東京です。身につけるものに気を遣わないゴンザが、ほぼ唯一こだわるのが靴。そして、スニーカー系は長らくニューバランスを愛用しているのです。

お気に入りは「コミューター」というモデル。革製のウォーキングシューズのような靴で、スーツにもチノパンにもジーパンにも合わせられるクセのなさがよいのです。

しかし、この「コミューター」、それほどメジャーなモデルではないため、普通の靴屋にふらっと入っても置いてあることは少なく、サイズが揃っていることもまれです。ですから直営店であるこのニューバランス東京に出向いたんですね。今までにも何度かここでコミューターシリーズを買っています。

しかし……ゴンザが苦手とするもの、それは「立派なお店」です。天井のたかーい、きれーいにディスプレイされた、お洒落な店員さんが待ち構えているお店は、大の苦手です。もー表参道あたりのブランド直営店など、天敵と言っていいくらいの存在です。

うっ。何度来ても入りにくいオーラを感じる。私のような根っからの貧乏人を寄せ付けない結界が、ここには張ってあるような気がする。

しかし、今回は買い物をするのが目的です。勇気を奮い起こして入り口をくぐります。新作スニーカーなどがきれいに展示されていますが、それには眼もくれず、ゴンザはすばやく店内を見回します。「コミューター」というコーナー札、あれだ!

まっすぐ、わき目も振らず、その一角に突進です。腕利き強盗もかくやというほどの、無駄な動きのなさです。

あ。ベルクロシステムの新しいモデルが出てる……買うならこれか、あるいはジッパークロージャーモデルのMW1201だな……。

とためつすがめついくつかの型を眺めていると、まもなく背後に敵の気配。8時方向から店員が接近してきます。どきどき。どきどき。

「あの、こちらの商品、サイズをおだし……」

振り返れば、都会的で洗練された接客技術を身につけたお姉さんの笑顔です。しかし敵の勢力圏内に入ってしまっている、と信じて疑わないゴンザは、その笑顔を楽しむ余裕もなく、おどおどと、しかしきっぱりと言います。
「あ、あのっ! これ! これのにじゅうごせんちのやつだしてください!」

気おされたようなお姉さんの出してくれた、25センチモデルをそそくさと履いてみたゴンザは、あれこれ他のサイズやモデルを試してみることもなく、「これにします」と買い物を速攻で済ませ、逃げるようにしてお店を後にしたのでした。

ダメだ……どーしてこうも気が小さいんだろう……店員さんと軽い世間話と靴談義を交わしながら買い物を楽しめるような男になれるのはいつのことだろう……そんな時は永遠にこないような気がするけど……。

さて、そんな嫌な汗をかきつつ手に入れた「コミューター」のモデル「MW1201」がこちらです。
MW1201全貌

コミューターには、普通のひもぐつモデルや、最近出たベルクロモデルなどもあるのですが、ものぐさなゴンザは、このジッパークロージャーモデルがお気に入り。ジッパーの中に簡単に絞ることが出来る紐の部分があり、それをきゅっと引いてストッパーでとめた後
ストッパー

ジッパーを上げれば装着完了するというスグレモノのクロージャーシステムです。
ジッパー部 

裾の短いカジュアルなパンツとあわせると、横や後ろのNロゴやジッパー部分が現れるので、軽いイメージの靴となります。
横から 後ろから

裾の長いスーツのパンツと合わせると、ジッパー部分などが隠れ、クセのないつま先部分がくつの「顔」になります。するとすこしフォーマルな印象の靴になるんですね。
前から
もう一色ブラウンバージョンがありますから、2足揃えてファッションや気分に応じて使い分けてみるのも一興。めんどいので、ゴンザはそんなことしませんが。

履き心地も、ニューバランスらしい快適さ。ゴンザが以前通っていた渋谷宮益坂のお店のシューフィッターさんによれば、日本人にはニューバランス、あるいはアシックスのスニーカーが合う人が多いのだそうです。

価格は16,800円と、スニーカーとしてみればかなりいいお値段ですが、ビジネスシューズとしてはそんなに高価ともいえません。ゴンザのように「靴なんざ3足くらいを履きまわしゃいいんだ!」という人にとっては、こういうオールマイティーな靴はなかなかいい買い物といえましょう。

というわけで、今回はゴンザのお気に入りの靴をご紹介いたしました!
posted by ゴンザ at 16:34| 静岡 ????| Comment(4) | TrackBack(2) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする