
タイトルから推測されるように、恋愛小説なんですが、ただ漫然と恋愛小説として読んでいると最後にわけがわからなくなるという、ある謎が隠されています。で、その謎をゴンザがしつこく解説したのが<謎解き『イニシエーション・ラブ』>なわけです。
この本は2004年に発売され、かなり話題になったのですが、ちょっと厳しかったのがその値段。ハードカバーなので1680円もするんですね。
そこで朗報。この『イニシエーション・ラブ』が文庫化される、という情報が入ってきました。発売元は文春文庫。まだ公式ページには発表されてませんが、各所の噂を聞くとどうやら確実で、発売日は4月10日になる模様です。
この本、かなりクセがあり、読み手を選びます。
まったく意味が分からないまま読み終わってしまったり、「意味はわかったけど面白くない!」とか「なんか読んでて登場人物にムカついた」とか「だからなんだよ!」という人もいます。
一方で「すげえ!傑作!」「こんな感覚は初めて味わった!」などと絶賛する人もいます。
万人にはオススメしないんですが、ちょっと変わった本をお探しのあなた、興味があったらお求め安くなる機会に読んでみてください。
文庫化にあたって気になることが2つ。
1つめは、表紙のデザイン。ハードカバー版の装丁の絵には、それ自体に隠された意味があったのですが、それが今回どうなるのか。新たなものになるのかどうか。
そしてもう1つは「作者による解説」がつくのか。同作者の難解な本『塔の断章』文庫版では、氏による自分の作品解説が巻末についたらしいですけど、『イニシエーション・ラブ』では、つけて欲しくないですねえ。
この作品は、
・読了後、「???」となったあとで「あっそうか!」となる「アハ体験」を味わう
・しばらく時間を置いたあとで「ああ、あそこもああなってたのか!」とぽつぽつ分かってくることがある
・視点を変えるとまた違うものが見えてくる
・読んだ人同士で「あれはわかった?」「あそこはこういうことだよね?」ということを推測しながら語り合う
といった、読者による積極的な読解に面白さがあるので、書いた本人が全ネタを明かしてしまったら、急につまらなくなると思うんですよね。
口を開けていれば答えを放り込んでくれる親切な本が多い中、読者に読解力・想像力・分析力を強要する「不親切な本」があっても良いのではないでしょうか。
ということで、「力」を試して見たい人は文庫版、ぜひ読んでみてください。解説があったら封印して!

