最近、サブウェイに行った。
地下鉄という意味のサブウェイではなく、サンドイッチのファーストフードチェーンである。行ったことがある人なら分かると思うが、ここではパンの種類や野菜の量、ドレッシングなどを客に逐一尋ねながら、目の前でサンドイッチを作ってくれる。
そこでこう言われた。
「野菜の量は普通でよろしかったですか?」
ちょっと待て。
何で「よろしかったですか」だ。過去形なんだ。
「……トマト多めで。」
「かしこまりました。」
過去形で尋ねたにも関わらず、野菜をはさむ前の段階だった店員は、こころよくトマトを多めにしてくれた。
「ドレッシングは普通でよろしかったですか?」
だから。
「こちらでお召し上がりでよろしかったですか?」
なぜ。
この「よろしかったですか?」は妙に私の神経を逆なでした。
他の店員もこの「よろしかったですか?」という言葉を使っている。ということは、この「よろしかったですか?」という言葉は、この店ではマニュアル化されているらしい。サブウェイ全体でのマニュアルかどうかは知らない。
どうして「よろしかったですか」と過去形なのだろう?「よろしいですか」ではないのだろう?
「お前の言葉遣いは間違っている!」とツッコむのは簡単なのだが、生来理屈っぽい私は、「よろしかったですか」嬢に作ってもらったケイジャンチキンをほおばりながら考えてこんでしまう。「よろしかったですか」という言葉の裏には、何らかの理由や心理が含まれているに違いない。
「よろしかったですか?」は、こちらに選択の権利が存在し、なおかつこちらが選択という行為を完了する前に使われている。
野菜の量、ドレッシングの種類、イートインかテイクアウトか。これらについては客側に選択権がある。ならば店側の正しい尋ね方はこうだろう。
「野菜の量はどういたしましょうか?」
しかし実際にはこう尋ねられる。
「野菜の量は普通でよろしかったですか?」
ここで注目すべきは「普通」というキーワードである。サブウェイのサンドイッチには普通、つまりは『標準』の野菜の種類と量、というものがある。
これはドレッシングの種類、イートインかテイクアウトかという命題においても同様で、つまりは「野菜普通・ドレッシング普通・イートイン」というのが、店側の提示する『標準』なのである。
「よろしかったですか?」という過去形には「現在野菜に関しては『標準』が選択されています。このまま続ける場合は『はい』を、カスタマイズする場合は『いいえ』を押してください。」という意味が含まれている。
つまり店側によって、『標準』がすでに選択済みなのである。そして「はい」「はい」と答えていけば、とりあえず無難な形のインストール、いやメニューが完成するのである。
選択という行為は、時として大きなストレスを強いるものである。ビギナーにとってはなおさらだ。ただサンドイッチを食べたいだけの初心者には「野菜の量をどうするか?」という命題に即断を下さねばならないのは苦痛だろう。
「よろしかったですか?」という過去形の底には、
・すでに「『標準』が選択済みである」という事実
・「このまま『標準』の形で注文完了なさったらいかがですか?」という店側の配慮
この2つが流れているのである。
謎はとけた。
しかし、このようなビギナーにやさしい店側の配慮は、アマノジャクな客には、こう誤解されることもあり得る。
「こっちとしては素直に『標準』を選んでくれるとありがたいのよ! いちいちこうるさく多くだ少なくだあれ入れろコレはダメ持って帰るとか言われるとめんどくさいのよね! うしろつまってるしさっさと『はい』って言ってくんない?」
なるほど。私が「よろしかったですか?」に妙な反発心を抱いたのはこのせいだったのだ。
「トマト多め、マヨネーズ追加、テイクアウト」という見事にスタンダードに逆らった自分仕様のサンドイッチを飲みこみながら、私は自分のアマノジャクぶりをあらためて実感したのであった。
2004年12月15日
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/1303389
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/1303389
この記事へのトラックバック


それはそうと、「よろしかったですか?」と同様に「お名前様の方をこちらに…。」とか「○○円からおあずかりします。」も、いつも一気に居心地を悪くしてくれます。なんでやねん。なんで余分な言葉をくっつけて語感を悪くしよるねん。
て、関西弁でしゃべってよろしかったですか?
「サイドはどのように?」「もみあげは?」「眉の下そりますか?」って、勝手にしてくれ!
たぶん「どうしますか?」という無限の中からの決断がいちばんしんどく、「AとBとC、どれにしますか?」という複数からの選択がその次。そして「イエスかノーか」が一番楽なんですね。
「よろしかった」は選択の余地を残しつつ、イエスノー選択で確認するための話法なのでしょう。
「○○円からおあずかりします」はゴンザも苦手。
「から」って何! 「○○円おあずかりします」でいいじゃん! おつりを渡すまでの「預かり」なんだから! 「から」を使いたいなら「○○円から頂きます」だろ! 引き算な感じで!
そしてつづく「197円のお返しになります。」
「お返しになる」て! 自分に敬語使てるみたいやん! 「お返しとなる」にしていてくれへんかねえちゃん!
というわけで、関西弁でのお返しになります。
この、「〜の方から」とか、「〜でよろしかったでしょうか」は、いつ頃からポピュラーになったのでしょう・・・?
ついて行けない・・・と思うのは、年取ったからなの?
ついでに、女の子達、少しでいいから女の子らしい言葉使いをして!男の子、女の子のご機嫌取り、やめて振られてもいいから、もっとビシッといきなさいよ!ビシッと!!
あ、振られても、責任は持ちませんので、念の為・・・。
その方言がこれほど広まったのは、たぶん「こっちでこういう風にやっちゃうつもりだけど、いい?」という店員による「先取り確認の心理」のようです。だから、『標準の流れ』がマニュアル化されているコンビニ・ファミレス・ファーストフードや居酒屋チェーンで爆発的に伝播したのでしょう。
女の子たちの言葉遣いについては、中学〜高校前半くらいにかけて、一時的にすごく荒くなるような……。一種の精神的過渡期なのかなあ……と思いつつも、その時期にボキャブラリィを溜め込まないと、一生言葉の能力が貧しいままになるんじゃないか、とも考えます。
ゴンザはご機嫌取りはしませんが、女性の怒りを買うことだけは避けるようにしています。(弱)
どこのお店に行っても、同じようなセリフで話しかけられ…
同じセリフだから何気に聞き流してたけど、よ〜く考えると変?って思い始め…
でも、逆の立場になったら同じようにそのセリフを吐くんだろうなって思いつつ聞いています。
言葉の乱れ…そうですね。私も自信はないですね…確かに怪しい…
仕事で送付状とか書こうとすると、かなり変な文章になっていますが、もういい!って諦めてます。
多分、相手もそんな真剣には受取らないだろうなぁ〜なんて勝手に解釈したりして…
あと…私は方言で接客されるのは、とても気になるんですけど…
いや、方言のほうがOKな場所もたくさんありますけど、例えばデパートの化粧品売り場とかで、関西弁で話しをされた時には、ひいてしまいました。
なんか違う…って。
たぶんもともとは「機械的に『イラッシャイマセ』と言うんじゃない! もっと気持ちを込めて!」と、「こんにちは」をくっつけることで経営者が意識の改善を図ろうとしたんじゃないかと思います。でもやっぱりマニュアル化されて、「イラッシャイマセコンニチハー」なんですよね。おそるべしマニュアルの浸透力。
ある意味、ファミレス・コンビニ・ファーストフードなどは、「マニュアル化されてるからどこ行っても同じ」という機械的なところが魅力の一つなんでしょうね。その土地のしきたりとか、その店での作法や手順というような「暗黙の了解」を気にせず、旅先でも気軽に使える安心感。
「方言だとひいてしまう」mikaさんの違和感は、自分の中の「暗黙の了解」と違う〜!ということから来ているのかも。ってことは、意外に「マニュアルなお店」のほうが性に合ってる可能性も!?
マニュアルなお店の方が、次に何を言われるか想像がつくので楽かも…
でもって、それぞれの店員の採点を気づけば、しているかも^_^;
この子は、OKとか、この子はイマイチとか…
いつから、経営者側に?って自分で自分を突っ込みたくなる…