会社で「多々良さん」という名前の人について、電話で伝えなければならないことがありました。
相手 「タカラさんですか?」
ゴンザ 「いや、ちがいます。タタラです。タ・タ・ラ。」
相手 「タタラさん……字はどう書くんですか?」
ゴンザ 「はい、多い少ないの『多い』に……『多い』に……」
ここでゴンザはつまづきました。「々」って……よく見る字だけど、言葉でどう説明したらいいんだ? えーとえーと。
ゴンザ 「あの……同じって意味の文字で……」
相手 「はい?」
ゴンザ 「えーと、カタカナのクとマを組み合わせたみたいなの、あるでしょ? あれです」
相手 「はあ? なんですって?」
四苦八苦しながらもとりあえず伝えることには成功したのですが、なかなかに音声コミュニケーションの難しさを感じたエピソードでありました。
『ゴンザの独り言』掲載後、読者の方からメールをいただきました。
「そういう時は、『佐々木さんの2文字目』って言えばいいんですよ」と。なるほど! その手があったか! 『代々木の2文字目』という案をくれた人もいましたが、東京近辺の人にしか伝わらない可能性もあるので、『佐々木さん』のほうが良さそうです。『野々村さん』もアリですね。
さてその後、この「々」について調べてみました。「々」は「文字」というよりは「記号」。「前の文字を重ねる」という意味合いを持ちますが、それ自体には「読み方」はありません。こういった「前に同じ」という意味合いをもつ記号には他にもいくつかあり、例えば「ゝ」「〃」などがそうです。
「ゝ」:ひらがな一文字を繰り返すときに使う。
⇒「さゝやか(ささやか)ではありますが」
「ゞ」:ひらがな一文字を繰り返し、2文字目が濁点つきになるときに使う。
⇒「たゞし(ただし)」
「ヽ」:カタカナ一文字を繰り返すときに使う。
⇒「ツヽジ(ツツジ)」
「ヾ」:カタカナ一文字を繰り返し、2文字目が濁点つきになるときに使う。
⇒「サヾエ(サザエ)」
「〃」:表の中で、直前の記述と同じ内容であることを示す。
⇒「2月13日 〃」の場合2月13日を意味する。
「々」:漢字一文字を繰り返すときに使う。
⇒「云々(云云:うんぬん)」
とまあ、こんな種類があります。ちなみにこれらはウィンドウズの日本語変換ソフトであるMS-IMEでは、「おなじ」を変換すると出てきます。
さて、こうした記号を総称してなんと言うかについては諸説あるようで、「同の字点(どうのじてん)」や「畳字(たたみじ)」「くりかえし符号」「踊り字(おどりじ)」「字送り(じおくり)」などけっこう好き勝手に呼ばれています。教育機関などが公式に「こうだ!」と定めたものがないようですね。
「々」については、編集者などいわゆる出版業界の人たちは「ノマ」とか「ノマ点」とか呼び習わしているようです。由来はもちろん「ノ」と「マ」を組み合わせたような字だから。ゴンザの「クとマを組み合わせたみたいなの」というのと同じ発想です。
でも「ノマ」と電話口で言ったところで、おそらく向こうに通じる確率は極めて低いので、意味がないっちゃあ、ない呼び名です。「それを発したとき、お互いの間にある程度の共有イメージが生まれなければ、それは言葉とはいえない」というのは誰の言葉だったか。
「この文字ってノマって言うんだって!」「へえ〜、知らなかった!」
と「へえ」をもらえるような呼び名ではダメダメで、みんなが知ってなければしょうがないですよね。
ノマかー。ノマノマ。
♪々々家 々々家 々々々家〜
♪毎夜波〜 毎夜風〜 毎夜火〜 毎夜発破〜
2006年02月13日
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