ところで、「トイレの神様」が本当にいらっしゃることをご存知でしょうか? 場所は、静岡県袋井市です。
というわけで、やってきましたJR東海道線袋井駅。

こちら、駅の公衆トイレなのですが、

ふくろうぃぃぃぃさんが出迎えてくれます。
さて、トイレの神様に会いに行きましょう。結論から言ってしまえば、いらっしゃる場所は「秋葉総本殿可睡斎」というところです。火防守護、つまり「火の用心」の総本山です。
あの電気機器とサブカルチャーの街「秋葉原」もこの秋葉と関係があるらしいです。一説では、昔あのあたりに大きな火事があり、その後鎮火のための社が建てられた。その社自体は秋葉大権現様とは関係なかったのですが、火防(ひぶせ)の神様といえば秋葉さまだったため、そこを「秋葉神社」と呼ぶ人が増え、秋葉神社のあるところだから、秋葉原と地名が付いた、なんて言われています。
さて、JR袋井駅から可睡斎へは、バスで行くのが楽です。1番乗り場のバスで10分くらいでつきます。気をつけなくてはいけないのは降りる場所。バス停「可睡口」で降りてはいけません。いかにも「可睡斎にいくならここで降りなさい」な名前ですが、騙されてはいけません。もう少し先の「可睡」が、最寄バス停です。
さあ、こちらが可睡斎です。
立派なところですねえ。
可睡斎という名前について、ちょっと解説。ここの大和尚で若き日の家康公を戦乱から救った方がいらっしゃいました。その恩に報いるため、家康公がのちに和尚を浜松城に招いたとき、その御前で和尚はコックリコックリと居眠りをなさいました。
普通なら「無礼者!」となるところですが、家康はにっこりとして「睡可(ねむるべし)」とおっしゃったそうです。つまり、私の前で眠ることができるほどに、心を許して下さっているのだ、まったく無礼ではないと喜んだとのこと。その後、この方は「可睡和尚」と呼ばれるようになりました。それが可睡斎の名の由来です。
なんとも心温まるエピソードです。いいですねえ。こういうゆったりとした心、取り戻したいものです。
まずは火防の秋葉三尺坊大権現様におまいりです。
すばらしい。建物も石像もいちいちすばらしい。ものすごく私、楽しいです。
さて、今回の目的はトイレです。どこにあるのでしょうか?
山門をくぐったところすぐに表示板がありました。

これかっ?

お札があります。神様はどこだ?

うんうん。きれいにします。さあどこにおわします?

きれいです。でもふつうのトイレです。
??? ここではないのか。
外に出てきょろきょろしていると……あれ? もう1つトイレがある。っていうか隣接している。

男性用と女性用ではありません。男性用と女性用×2です。どこまでトイレを大事にしているんでしょうか。
トイレBにも入ってみます。
こちらもふつうのトイレです。でもやっぱりすごくきれいです。ちなみにTOTOでした。
可睡斎の方を見つけて聞いたところ「屋内にありますよ」と親切に教えてくれました。こちらの建物です。
拝観の志500円をお渡しして入ります。
この中、とてもきれいで、とても落ち着き、とても面白いです。
見事な襖絵。
古く美しいガラス戸の外に広がる庭園。
梅が、咲いていました。
ぼーっとしていたら、ここでお勤めをしてらっしゃる女性がお茶まで淹れてくださいました。

うまい……さすが静岡だ……。
さて、くつろいでないで、トイレの神様に会いに行きましょう。


男女兼用ですので、だれでも入れます。
では、動画で公開いたしましょう! VTRスタート!
はいっ! どうでしょうか!
私は、感動いたしました。みごとです。
神々しいとはこのことです。
憤怒の表情を浮かべてらっしゃいますが、本当にべっぴんさんです。
この方は「烏蒭沙摩明王(うすさまみょうおう)」様。仏様か神様かと言われると、仏様に近いです。ただ、もととなっているのがインドの「アグニ」という炎の神様なんです。烈火でこの世の汚れを焼き払うとされ、仏教に取り入れられた後は「浄化」の功徳を持っているとされます。
人間の俗世界と仏の世界を炎でへだて、煩悩が仏の世界に入ってこないように守っている、とのことですので、いわば「仏法界のファイアーウォール」です。
清浄なる自己を目覚めさせるとも言われ、トイレ掃除それ自体も非常に大事な僧侶の修行の1つとされています。外面的な美しさではなく、生き方を美しくしてくれるのが、トイレ掃除であり、烏蒭沙摩明王ってことですね。「美人」ではなく、「べっぴんさん」とは、そういうことなのでしょう。植村花菜さんのおばあさまは、ものすごく深いことを教えてくれていたわけです。
ということで、私もべっぴんさんになりたいので、僭越ながら掃除をさせていただきました。
……なんか、のそのそしてて、美しくない……。修行が足りないようです。
この後、ちょっと大をもよおしてきたので、せっかくですから、1つしかない洋式トイレに入ってみました。

広い。そしてきれい。なんて気持ちのいい処なんだろう。
と思ってのんびり座っていたら、外で声が。たぶん2人連れのおじさんです。
「へえ! これかあ! すごいな!」
「おー。こりゃこりゃ、立派なトイレだねえ」
「なんかここでしてくと、ご利益ありそうだな」
二人で小をしている気配です。
「ここは男女兼用なのかぁ」
「ああ、こっちは個室だね」
「あれ、一個だけ洋式があるのか」
あ、なんかヤな予感。
ガチャ、ガチャガチャ!
「あのぅ……すいません、入ってます……」
「あ、こりゃ失礼!」
よかった。ちゃんと鍵かけといて。
無事に大を済ませた後、軽く便器を拭いてから出るときのショットがコレ。
トイレの紙様ごしのトイレの神様のお背中。
あー。なんか気持ちが浄化された気がする。
むっ。トイレのスリッパが。

これはこう!

わたし内部のビフォーアフターです。
最後はここ可睡斎にしかないという、烏蒭沙摩明王のお札を頂いてきました。

もちろん、鎮座していただくのはここ。

自宅のトイレです。
作務衣を着て、
お掃除をしました。
私もすこしべっぴんさんになれたかな?
<ゴンザ>
[追記 2011.01.19]
袋井に行ったらこれを食べよう!⇒ たまごふわふわ
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「トイレの神様」の歌の方には眉ひとつ動かさない冷たい人間ですが、こちらの「トイレの神様」にはいたく心が動きました。
ゴンザさんの丁寧なレポートを読んでもう半分行った気ですが、実物を見に行きたいです。
スリッパを揃えるあたり、好感度ばっちりですね!
あと、
短期間ながら以前、川崎市に住んでいたので、「川崎市民の常識」とても面白かったです。爆笑しました。
ぜひ実物を見に行ってください。時期はやっぱり春がオススメですね。可睡斎のぼたん、おとなりの「ゆりの園」、ちょっと足を伸ばして法多山 で桜を見ながら厄除けだんごなんてのもオツです。
川崎にはまだ実家がありまーす。ずいぶんおしゃれな街になっちゃいましたね、あの辺も。