【警告!】
この下の文は小説『イニシエーション・ラブ』のネタばらし解説です!
『イニシエーション・ラブ』を読んだことのある人以外は、この下の記事を読むのは絶対にやめましょう!
かなりの長文なので、文字反転などのテクニックも使っていません!
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【目次】
序章 時系列データ
第1章 時制のトリック
第2章 すり替えのトリック
第3章 交錯ポイントと心理の動き
第4章 暗示と象徴
第5章 「静岡ローカル小説」としての『イニシエーション・ラブ』
第6章 おまけ
第3章 交錯ポイントと心理の動き
A面とB面は同時進行ですので、時にそれが交錯するところがあります。心理の動きなどとあわせて解説します。
3−1)水着
水着のエピソードは伏線というよりは、ミスリードの性格が強いでしょうか。マユが夕樹と静波海岸に行った時の水着は、
赤茶色のタンクトップに、その下にはすでに水着を着ているのだろう、白い肩紐が首の後ろで結ばれているのが見えた。(A面28ページ13行目)
成岡さんはワンピースの水着を着ていた。白地にカラフルな花模様があしらわれたデザインで彼女にとても似合っていた。背中の部分が大きく露出しているが<後略>(A面30ページ15行目)
と描写されています。そしてそれは、B面で描かれる「去年の水着」
「……でも今年買った新しい水着は、たっくんのために取っておいたから。
たっくんと行くときに初めて着ようと思って買ったんだから」
<中略>
そしてその新しい水着を彼女がまだ着ていないこともじきにわかった。
そうそう。思い出した。去年の水着は背中が大きく開いていて、肩紐を首の裏側で結ぶタイプのやつだった。そうそう。この形。
<中略>
色は白で──この肌と同じ白の生地に、そう、カラフルな花模様が入ったやつだった。(B面195ページ13行目)
の記述と一致します。ですから、B面がA面の1年後、というつながり方をしてしまうのですが、実際には、この文の前を見ると、
「先週、友達と海に行ってきたの。だってたっくん、先週は静岡に帰ってこれないって言ってたじゃん。だから予定入れちゃってたの。
……でも今年買った新しい水着は、たっくんのために取っておいたから。
たっくんと行くときに初めて着ようと思って買ったんだから」(B面195ページ11行目)
この「一緒に海に行った友達」というのが、夕樹を含む合コンメンバーなわけです。その時は新しい水着はとっておいて、去年(1986年)の夏に買った「白に花柄で背中の大きく開いた水着」を着ていった、ということ。「白に花柄で背中の大きく開いた水着」は辰也にとっては「去年(1986年)の水着」であり、夕樹にとってははじめて見た「今年(1987年)の水着」と映ることになります。
3−2)指輪
章の名前にもなっている「ルビーの指輪」はこのお話の中で様々な変遷をたどります。
まず、7月2日(木)の誕生日に辰也⇒マユにプレゼント。
「たっくん……。あの話、覚えててくれたんだ」マユの視線は僕と指輪の間を何度も行き来している。
「当然」と僕は答える。(B面151ページ15行目)
次に現れるのは夕樹とであった合コンの席。7月10日(金)。
「これは自分で買ったんです。<中略>七月の二日が、私の誕生日だったんですよ。それで買って、で、せっかく買ったんだから、やっぱり誰かに見せたいじゃないですか。」(A面16ページ4行目)
この時点でのマユはどういうつもりだったのか、よくわかりません。ただ、その指輪を嬉しげに見せる様子からは、まだ辰也への想いが強いことが窺えます。
次に記述に現れるのはテニスのシーンで、9月15日。
「今日はあの指輪はしてこなかった?」
「あ、はい。今日は持ってきてないです。」(A面85ページ4行目)
テニスをやる日なのですから、当たり前といえば当たり前なのですが、この日は指輪をしていません。ただ、マユの気持ちを示すバロメータとしてこの指輪を見るとすると、この時点では辰也から心が離れていることを示すと言えるでしょう。8月29日に堕胎手術を経ており、この後夕樹を部屋へ誘う展開になるわけですから。
10月31日の辰也との破局の後、
水曜日に仕事から帰ると、寮に僕宛の小包が届いていた。<中略>部屋に戻って包みを開けてみると、青いベルベットの小箱が出てきた。蓋を開けると、中身もちゃんと入っている。(B面249ページ1行目)
マユからルビーの指輪が辰也に返されます。決別。マユにとってのイニシエーションの最後の儀式、といったところでしょうか。
そしてA面の最終章・クリスマスイブのシーンでは、
「あ、うん。あれね。……本当はしてこようと思ってたんだけど、探したら無くて──なんか、失くしちゃったみたい」(A面127ページ5行目)
ということで、マユは辰也からもらい、返した指輪について、夕樹には「失くした」と言います。それに対し夕樹は
「じゃあ、来年は僕が指輪をプレゼントする」と思ったままを口にしながら、僕はコートのポケットに仕舞っておいた包みを取り出した。(A面127ページ12行目)
ここの「じゃあ、来年は僕が指輪をプレゼントする」という部分が、B面最初、マユの誕生日の「たっくん……。あの話、覚えててくれたんだ」の「あの話」にあたるのか、と読者をミスリードするわけですが、実際は辰也とマユの間で交わされた他の話だということですね。これがどんな話かは明らかでないのですが、
「それ、ルビー?」
「そう」と答えた成岡さんの表情がパッと明るくなる。種類を言い当てられたのが嬉しかったようだ。「七月の誕生石」と付け加える。(A面16ページ10行目)
「うん。マユが他の月に生まれてくれれば、ね。もっと大粒のを買えたかも。」
「もっと安いのを、じゃなくて。」(B面152ページ2行目)
と、「誕生石としてのルビー」にこだわっているところから見て、たとえば「婚約指輪の宝石は誕生石」「誕生石の指輪を恋人からプレゼントされるとそのカップルは幸せになる」といった話ではないかと推測されます。マユと辰也が過ごした初めての誕生日(1年前の1986年7月2日)にそんな話をしたのではないでしょうか。
3−3)マユの堕胎手術とタバコ
マユが「生理が来ていない」ということを辰也に打ち明けたのが8月9日。最後に生理が来たのが6月の10日あたりだった、という記述がありますから、7月10日くらいから不安を感じ始め、まるまる二ヶ月が経ったところでいよいよ告白したということになります。
不安に思っているこの期間に、夕樹に積極的にアプローチしていたマユ。8月2日に海へ行き、8月14日に初デートをしています。いったいどんなことを考えていたのでしょうか。女の強さなのか、それとも弱さなのか……?
8月2日の海で、マユは夕樹にタバコをもらって吸っています。そして8月9日に辰也に妊娠の疑いを告白。この時点で、ある程度は妊娠の覚悟もしていたと思われます。
8月14日の夕樹との初デートでは、
バーガーとポテトを片付けたところで、僕は成岡さんの了解を得てからタバコに火をつけた。最初の灰を灰皿に落としたところで、「成岡さん今日は?」と聞いてみると、
「実は持ってきてるんですけど、今はやめときます」と言って、悪戯が見つかったときに子供が見せるような表情をしてみせた。(A面56ページ11行目)
とタバコを控えています。産むことになるかもしれない、という気持ちがマユにタバコを吸わせなかったのでしょうか。
そして8月23日の検査で妊娠が判明。その夜、辰也からの電話で堕胎を決めます。堕胎手術は翌週末の8月29日。その前の8月26日(水)にマユは夕樹に電話をかけて、「体調が悪い」という理由で8月28日(金)のデートをキャンセルしています。
8月30日に退院した後、9月4日(金)に夕樹との3回目のデート。先週のデートのキャンセルについて、マユは「便秘だった」というなんとも微妙な言い訳をします。
「お腹がずっと張ってて苦しいし、あと入院とかしなきゃならない場合もあるし。私も先週の土日に一泊で入院してきて、それでようやくすっきりしたんだもん。」(76ページ8行目)
この日のマユは「うーん、開放感っていうのかな」「よーし、飲んで食うぞー」とたしかに「すっきりした」様子を見せます。指輪の項でも触れたとおり、堕胎手術がマユの心が辰也から離れていく決定的なきっかけになっていることをうかがわせます。そしてこの後、
そういえば、彼女が自分のタバコを吸うところを見るのは、これが初めてだった。(A面75ページ12行目)
ということで、前回のデートまでは控えていたタバコを吸っています。おなかの子を心配する必要がなくなったことが、喫煙を再開させているのかもしれません。
なお、マユが受胎したのがいつなのか?というちょっと下世話なことを考えてみますと、6月10日に生理があった、というのでそれ以後。8月23日の検査で「妊娠3ヶ月」と診断されていることから考えると、おそらく辰也が東京派遣の内示を受けた翌日、マユに東京行きの話をして「久しぶりに燃え上がった」6月20日のことではないかと思われます。
妊娠○ヶ月、というのは、丸○ヶ月ではなく足掛け○ヶ月、○ヶ月目に入った、という定義なの、かな?
3−4)ハードカバーの本
前項堕胎手術と同じ時期に現れる交錯アイテムが、ハードカバーの本。
マユと夕樹の初デートで話題になった泡坂妻夫の本、『花嫁のさけび』『乱れからくり』『11枚のとらんぷ』『迷蝶の島』を、夕樹は2回目のデートでマユに貸します。
僕が鞄から本を取り出すと、「あ、単行本なんだ」と彼女は驚いたような表情を見せた。(A面68ページ7行目)
単行本、つまりハードカバーの本です。この4冊の本はB面でも現れます。マユの妊娠が明らかになり、部屋で今後のことを話し合おうとする際、辰也はいらだち、
代わりに僕は、カラーボックスの上に積まれていたハードカバーの本の山に目をつけると、「何だよこれは」と手で床に払い落とした。(B面220ページ11行目)
と理不尽な怒りをぶつけます。これに対しマユは、
「もう買わないから。本はじゃあこれからは全部図書館で借りて読むから。……今はそんなことで怒らないで」とか細い声で言い、床に散らばった本を一冊ずつ拾い集めようとする。(B面220ページ17行目)
これを踏まえたうえで、マユが夕樹に本を返す9月4日の文章を読んでみましょう。
とりあえずその場でお互いに借りていた本を返し(僕が貸していたハードカバーを含む四冊が、彼女には重荷になっていたようだ)(A面74ページ9行目)
「重荷になっていたようだ」。肉体的な重荷という意味の裏に、いさかいのきっかけを作ってしまった「精神的な重荷」という意味。作者がほくそ笑んでいるような表現ではありませんか?
3−5)アインシュタインの本
もう一つ、続けて本のネタ。
その中に一冊、講談社ブルーバックスの本が混じっているのが目を惹いた。明らかに彼女の嗜好とは異なっているはずの、その本のタイトルは──『アインシュタインの世界』。(A面96ページ9行目)
その時僕は唐突に彼女の部屋にあった『アインシュタインの世界』という本のことを思い出していた。彼女の読書傾向からして、あまりにも似つかわしくないその本は、あるいは彼女が僕のことを理解したいと思って買ったものだったのかもしれない。理系の人間について理解したい──アインシュタインについて勉強してみよう──というその着想の安易さも含めて、それはいかにもありうることのように思えたし、もしそうだとしたら──僕はマユのその気持ちを嬉しく思う。(A面120ページ8行目)
と、夕樹は考えるわけですが、実際のところは、B面最後で語られる辰也とマユの思い出の中の1つ、
──彼女がニュートンとアインシュタインの区別もつかないのを馬鹿にしたら泣いてしまったこと──
(B面262ページ15行目)
で明かされるとおり、「理系(数学科)の夕樹を理解するために」ではなく、「物理専攻の辰也を理解するために」買ったものだったのです。
3−6)辰也とマユのW二股
ここでは、時系列データに従って、辰也とマユのW二股の状況について分析してみましょう。
夕樹とマユの出会いはいうまでもなく、7月10(金)の合コンですが、その次の日に辰也と会ったときの記述に注目。
話の都合上、石丸美弥子さんの名前も出すことになったが、彼女が女性であることは敢えて伏せて喋った。僕自身が彼女に対して何も思っていないのに、マユに変な風に勘繰られたり嫉妬されたりするのも馬鹿らしい。
マユのほうでもこの1週間友達と遊んだりしていたようで、話題は尽きなかった。(B面170ページ8行目)
なるほど……マユも辰也と同じように「変な風に勘繰られたり嫉妬されたりするのも馬鹿らしい」から「女友達と飲みに行ってカラオケで騒いだ」というような話し方をしたようですね。
この日の少し後、辰也は入院と観劇のせいで3週間ほどマユと会わない日が続きます。その間の8月2日の海でマユは夕樹に積極的なアプローチをします。
かなりのニヤミスが生じるのが、一週間後の8月9日(日)。この日はマユが、久しぶりに会った辰也に対し、生理が来ていないことを打ち明けた日です。一方でその日の夜には、夕樹がマユに初めて電話を掛けています。辰也が帰った数時間後、マユは夕樹からの電話を受けているんですね。マユ、なかなかの綱渡りです。
その後、堕胎手術を経て、辰也が3週間ほど静岡に帰らなかった間に、マユと夕樹は初めて身体を重ねます。これが9月15日のこと。上述の海でのアプローチといい、マユは2週間以上会えないと寂しくなってしまう性格のようです。
夕樹とベッドインしたマユが「とうてい処女とは思えない」というのと、2度目で、
「竿竹なら間に合ってますよって、よっぽど言おうかと思った、私」(A面122ページ5行目)
とシモネタジョークまで飛び出すに至って、「二股かけてんじゃ?」という疑惑を持った人は多いようです。
辰也が本格的に石丸さんとの浮気を始めたのが9月23日ですから、マユと辰也のW二股はほぼ同時期に進行し、10月31日の破局まで1ヶ月半ほど続くことになります。このことを踏まえて読んでみましょう。
「だから十月からは──」<中略>「──木曜日にしない?」(A面117ページ15行目)
とマユが夕樹とのデートを金曜から木曜の夜に変更することを持ちかけたのが、9月18日(金)のこと。辰也が週末に戻ってくるわけですから、前日の金曜日夜に夕樹と会い、もし強引に部屋に泊まられでもしたらマユは困ります。そういう意図で、デートの日程をずらしたのでしょうね。
翌9月19日(土)には、マユは辰也から「俺、やっぱ毎週だとけっこう辛いんだよ。<中略>二週間に一回のペースになってもいいかな?」(B面239ページ6行目)という頼みを受け、笑顔で了承しています。
この後、辰也は石丸さんとマユ、交互に週末を過ごすわけですが、マユの方はと見ると、10月10日以降、
彼女はそれから月に一、二回のペースで、僕の部屋を訪ねてくるようになった。(A面122ページ8行目)
と書かれています。月に二回とすると、二週間に一回のペース。マユも辰也と同じペースで浮気をしていたということになりますね。つまりは辰也が石丸さんと会っている週末には、マユも夕樹と過ごしていたのです。
その後10月31日で辰也×マユは破局を迎えます。辰也の捨てゼリフ「本当は、二ヶ月前のあの日に終わってたんだよ。俺たち」(B面247ページ5行目)の「二ヶ月前のあの日」が示すのは、もちろん堕胎手術を行った8月29日のこと。その約2週間後にマユは夕樹と浮気、3週間後に辰也は石丸さんと浮気をするわけですから、確かに「終わって」いたのでしょう。辰也が出て行った後、マユはつぶやいたかもしれません。「そんなこと、わかってたわ」と。
11/14(土)に夕樹とのはじめてのドライブで、二人はラブホテルに入るのですが、
僕たちにとっては全てが物珍しく──マユは特にはしゃいでいた。雰囲気がそうさせるのか、彼女はその日、今までになく積極的な姿勢を見せた。(A面122ページ13行目)
と記されています。もちろん、マユは初めてラブホテルに来たわけではありませんから、「はしゃいで」いたのは別の理由。夕樹に対する「初々しい」演技なのか、辰也との別れを吹っ切るための空元気なのか、はたまた辰也との関係が清算されたことについての開放感なのか。最後の理由が一番しっくり来ますね。
3−7)イブの予約
さて、その11月14日・ラブホテルのピロートークの中で、マユと夕樹はクリスマスイブの過ごし方を話題にします。その後の記述が以下のもの。
現実には、夜景が綺麗だとか、あるいは料理がおいしいとか、それなりに有名なホテルやレストランでは、すでにこの時期、クリスマスの予約は埋まっているだろうと思われた。
しかしダメで元々だと開き直って、僕は帰宅後すぐに電話を掛けてみた。最初に掛けたのはターミナルホテルだった。するとちょうどキャンセルが出たばかりで、スカイレストランでのディナー二人席とダブルルームが一室空いているという。僕はすぐに予約を申し込んだ。非常にラッキーだった。
マユにも電話をしてその件を報告すると、彼女は開口一番、
「あー、じゃあ、どこかで今日、失恋したカップルがいたってことね」と言った。なるほどと思う。どこの誰かは知らないが、僕たちはそのカップルに感謝しなければならないと思う。(A面123ページ5行目)
これに対するB面。
十一月も半ばになってから、僕はクリスマスイブに静岡ターミナルホテルの予約を取っていたことを思い出した。スカイレストランでのディナーと、ダブルルームで一泊という予約である。その二つを合わせて、キャンセル料は三千円ほどかかった。
もしマユと続いていたとしても、今年のイブは木曜日で──どのみちキャンセルするしかなかったかもしれない。予約をしたのは五月だった。(B面255ページ2行目)
というわけで、辰也&マユが「どこかで今日、失恋したカップル」であり、辰也&マユがキャンセルした予約に、マユ&夕樹が滑り込んだということです。
【目次】
序章 時系列データ
第1章 時制のトリック
第2章 すり替えのトリック
第3章 交錯ポイントと心理の動き
第4章 暗示と象徴
第5章 「静岡ローカル小説」としての『イニシエーション・ラブ』
第6章 おまけ


ご労作、感心しながら拝見させていただきました。
今後もいろいろ、意見を交換させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
余談ですが、妊娠○ヶ月最終月経初日からカウントしますので、6月初旬に生理があれば、8月下旬は3ヶ月目ということになります。
ふむふむ。妊娠期間の数え方はそうなっているんですかぁ。ひとつおりこうになりました。いや、調査は比較的得意なのですが、これはどうやって調べればよいのか、立ち往生してしまって。
女友達に「妊娠○ヶ月ってどうカウントするの?」とか「堕胎手術ってどんな手続き?」とか聞くわけにも行かないじゃないですか。かといって母親に聞くのはさらに剣呑です。即「うちの息子が不始末を!」と思われるのがオチですから。
あと、fufuさんの掲示板をお読みしたかぎりでは
自分の読み方とゴンザさんの読み方(特にマユの性格分析等)似通ったところがあるなあ、と感じました。
今後ともよろしくお願いします。
詳細な分析と共に静岡出身でもある自分にはいろいろ感慨深かったです。
ところで
なお、マユが受胎したのがいつなのか?というちょっと下世話なことを考えてみますと、6月10日に生理があった、というのでそれ以後。8月23日の検査で「妊娠3ヶ月」と診断されていることから考えると、おそらく夕樹が東京派遣の内示を受けた翌日、マユに東京行きの話をして「久しぶりに燃え上がった」6月20日のことではないかと思われます。
この「夕樹」は「辰也」ではないでしょうか?
間違っていたらごめんなさい。
「第3の男の存在」の根拠は、まずもにおさんのいわれる記述。それから、「鍵」の手品は、マユと北原の間での鍵のやりとりだったのではないか、という読みです。
しかし、やっぱり妊娠のタイミングの問題や、他の伏線などを分析してみると、これはどうにも根拠が薄弱。
北原を抜きに考えれば、6月頃にマユがなんらかの形で「火遊び」をして、その結果妊娠したことを辰也に押しかぶせたという説もあります。
そしてもうひとつあるのが、「そもそも妊娠してなかった」説です。
妊娠は、辰也を試す、あるいは関係を断ち切るための芝居ということです。実は産婦人科内では、医者に当たり障りのない相談をしていただけ。中絶のための入院も行き帰りを辰也に送らせて「入院した」と思わせ、実家か友達の家に泊まり、朝早くまた病院に行った、と。
辰也が院内にまで付き添ってくれる性格ではない、ということを考えると、こうした芝居をするのも可能かもしれません。辰也が中絶の同意書を前にするシーンがなく、またその費用についての話し合いの記述もない、ということがこの説の論拠となっています。「第3の男」説より、こちらのほうが説得力がありますね。
ただ、これについては、やはり伏線が弱く、想像の域を出ないので、この【謎解き】には入れませんでした。
論拠というほどのものではないのですが、
「辰也の中に出した覚えはないなんていうくだり」が
2回以上繰り返されたのと、
マユの底知れぬ凄さゆえ、と言ったところでしょうか。
ゴンザさんのおかげで全ての謎がとけました。
丁寧な解説ありがとうございます。
マユ、いえ女は怖いですね〜。
マユは最初は妊娠を疑ってて、でも辰也との結婚とか
そういうのは嫌で「結婚前にHしてたのがばれるのが嫌」
とうさんくさい嘘をついたんでしょうね。
で、検査の結果、妊娠はしてなかったのかもしれません。
でもこの妊娠&中絶を辰也と別れるきっかけにできないか、
とマユは考えて一芝居うった可能性が高そうです。
なぜそのように考えるかと言いますと、いくらなんでも
中絶した後に、夕樹とデートしてHしたり元気に飲食したり、
タバコ吸ったりなんてできませんよ、
女性の心理から考えて。
よほど頭のいかれた女性ならするかもしれませんが、
マユはあざといけどそこまでおかしな子ではないと思
いたいです。
あと、辰也が実際に病院の中まで入っていないので
実際に手術が行われたか、かなり疑わしいです。
でも中絶後にかなり痩せていた、とか、中絶の前日に
夕樹とのデートを断っている、これはどういうことなんでしょうね。
第三のたっくん説もアリなのでしょうか。
これは私にもわかりません。
でもさすがに第三の男までいたらマユは本当最低な
女です。人´∀`)
しかしこのマユと夕樹、辰也と美弥子、この二つの恋
もイニシエーション・ラブなんでしょうね。
後味悪いったらありません☆笑
先日この本を文庫で買い、
今斜め読みして(辰也の性格が鼻について、全部読む気が失せたんです(笑))
やはり斜め読みじゃ意味が良く分からなくて、
ネタバレで検索かけたら、こちらにたどり着きました。
大変よく分かって助かります。
で、「中に出してない」為に
「第3の男」or「妊娠はうそ」説が出ているようですが、
知っておられるとは思いますが、「中田氏」は避妊じゃないですよ。
(私の友人は昔、それで彼女を孕ませました。
で、私がお金貸す羽目になった(^^;)
最近はちょっとした性知識本にもきちんと書いてあることです。
なので私はここは、「単に辰也の知識不足」だと言う風に捉えました。
そう勘違いしてる殿方も未だに多いようですし、ね。
でも皆さんの意見を読んで、これは彼女の嘘だったのかもしれないとも思ってます。
なんにしても不愉快な男女だったので、
(特に辰也。キレたら女に暴力振るう男なんて最低)
正直再読はしないでしょう、きっと。
当時NECはパソコンの過半のシェアを握っていたトップメーカーで、富士通はシャープに次いで3位、熾烈なライバル関係にありました。富士通のグループ会社に就職したなら、そこでNECのパソコンが使われてることはありえないですね。
このあたりも鋭い人ならおかしいと思うことの一つなのでしょうか。
……と一瞬思ったのですが、よく考えると矛盾してないんじゃないでしょうか?
A面で「僕」は確かに富士通に内定した、と言っています。が、B面冒頭で「内定を貰っていた大企業を蹴ってまで、わざわざ静岡の会社を選んで入った」とあります。内定先から地元企業を紹介してもらった記述は無いようなので、この時点で「僕」の就職先・慶徳ギフト静岡が富士通系の会社である必要は無くなっています。ですからNEC系システムを使っていても、特におかしいとは言えないのではなかろうかと。どうでがしょ?
「本当は、二ヶ月前のあの日に終わってたんだよ。俺たち」
のところでは、マユが可哀想で涙してしまいました・・・あーあ。
女性読者からすると、詳細な性描写はちょっと恥ずかしくてササっと読み飛ばしてしまうし、「へえそういう人もいるのね〜」なんてあっさり了承しながら読み進めてしまうこともあるかもしれません。二度目に読むと、「よく言うよ、この女」とあきれる部分も多々ありますね(^^;)
わたしは実はフィクションがあまり好きでなく、滅多に小説を読まないのですが、最初の「ルビーの指輪」に反応して読み始めました。実は私も7月生まれだからです。
しかし、すぐに「つまんないただの恋愛小説か・・・」か、とガッカリしました。が、ある理由があって最後までがんばって読破しました。
繭子に男の影があるのはスグにわかりました。
コンパに指輪をしていくなど、心に今思う男性がいるからであって、コンパで「その」目的の男性陣に牽制をかけている現われだと思ったから。その思う男性が過去か現在か、もしくは終わりそうな相手なのかはわからないけど。
繭子の部屋にひとつだけ異質な「アインシュタイン」の本があることは、それを確信させました。なぜなら、滅多に小説を読まないわたしがこの「イニシ・・・ラブ」を読もうと思ったきっかけは、まさにコレを読んだ人を理解したかったためだからです。
そう思うと、繭子があきらかに初体験じゃないのに芝居をうっているところが不思議というか「小説ってこういう設定がテキトーで嫌!」と思ったんですが、半ばノルマのような気持ちで読み終つづけました。
財布はクリスマスプレゼントだったのでは?とか、たっくんの人格やドラマ放送の時系列に違和感を感じながらも最後の2行までは「タックン二股」の話だとすっかりだまされてしまって、ただ、なんでこの終わり方??とギモンに思い、こちらにたどりついたのですが、、
コチラを拝見して、新たなことを考えたのです。
先ほどの「繭子がテキトーで嫌」というところですが、こちらを拝見して、実は逆ではないか?と思い始めました。
著者が占いに精通している、という話・・・なるほど!と思いました。
「誕生石がルビー」=「7月生まれのかに座」・・・それは、繭子のキャラクター設定で、その星座しかありえないから、そうだったんだ、と私は考えました。
かに座の私と、繭子はとても発想がにている、と思っていたんです、夕樹との初体験までは。
ちなみに「かに座」は12星座のうちもっとも「女”性”」的で、かに座のマークは「乳房」を象徴としており、「母性」「過敏」「防衛本能」などを強い本能とするとされています。・・・守るべきもの、大切なものに対しては「一途」なんです。
だから初体験あたりまで読み進んで、ベツの男の影を濃厚にカンジたわたしは、「繭子」は「かに座」とは考えられない、と、思ったのです。
よみ終え、こちらを拝見して、「喫煙」のことなど謎はいくつか残るけど、ちょっと怖いことを考え付きました。
・・・もしかして繭子は子供をおろさなかったのでは?・・・と。
勘の鋭い「かに座」女性の繭子は、辰也と終わりが近いことをなんとなく勘づいていた。最初はさみしさと不安を紛らす「だけのために」コンパにもいったけれど、、同時に、もしかして妊娠の可能性?がでてきて・・・
母性本能の強い繭子にとって、終わりそうな辰也から宣告されるであろう「堕胎」という結果はとてつもなく辛く受け入れがたいことだったはず。
そこで、実は「降ろさなかった」と仮定すると、、
夕樹と早く「なま」で関係を持つことが必要だった、、つまり、子供の父親にするために夕樹が選ばれたのでは・・・それであんなに積極的に・・・?
繭子が悪女、という考え方よりも、「女性」の「性」の哀れや本能的なたくましさを考えてしまいました。
自分がおなじかに座だから、すこしでも「繭子」を弁護したい、気持ちがないとはいえませんが(^_^;;;