「ゴンザぁ、ここらへんに、サビオねえかなぁ?」
は? サビオ? それは……スネオのイトコですか? よくラジコン飛行機とかをスネオに貸してくれる大学生のお兄さん? すいませんが、面識ありません。
いや、ひょっとすると怪獣? 『南海の大決戦! ゴジラ対サビオ』とか『ウルトラセブン 第9話 宇宙獣サビオ望郷の念』とか、そういうの? すいませんが、観たことないです。
などと高性能なゴンザ脳で、低レベルな推理を繰り広げていると、ゴンザの上司にあたるM部長が助け舟を出してくれました。
「俺持ってるよ、ほら。しかしサビオってひさしぶりに聞いたなあ……」
なんと「サビオ」は個人が持つことが出来るもののようです。ゴンザの知らないそんなものを所有しているというM部長。ここはあらためて惜しみない尊敬の念を送らなければなりません。
さて、M部長がカバンから取り出したそれを見てみると……あれ……これは……バンソウコウですよね部長。マキロンとともに、今も昔もわんぱくな男の子の力強い味方となり続けている「バンドエイド」さんですよね部長。わんぱくな営業部長がさっそく指に巻いていらっしゃるところから見ても、やっぱりこれバンソウコウさんに間違いないですよね部長。
し、知らなかった……。
バンソウコウに「サビオ」という名前があったなんて。あなたにそんな別の顔があったなんて。そういえば、私はあなたについて何も知りませんでした。
というわけで、バンソウコウの歴史と風土記について、早速調査開始ー。(タンジェント君風に)
まず、「サビオ」の実物を確認。これがサビオだ!

「サビオ」はライオンの製品。つまりバンソウコウの商品名なんですね。要するに登録商標名が一般名詞化しているパターン。「ウォークマン」とか「宅急便」と同じですね。
この「サビオ」、今は作られていないのかと思いきや、まだ生産は続けられているようです。しかし、ライオンの公式ホームページの製品情報には掲載されていません。「サビオ」にはなにか後ろ暗い過去でもあるのでしょうか。謎は深まります。(※後に2002・平成14年に生産終了していることが判明しました。)
さらに調査を進めるうち、「サビオ」には、どうやらジェネレーションギャップとローカルギャップが存在することが判明しました。
現在40代以上の人には、「サビオ」はなつかしくはあれども知っている名前であり、30代くらいを境に「知らない」確率が急上昇しています。ということは、どうやら1960年代くらいまでは、「サビオ」は全国の絆創膏界でかなりのシェアを築いていたものと思われます。
そしてローカルギャップ。「サビオ」は、ゴンザの育った関東地方と、もう一箇所九州地区で最も認知度が低く、逆に北海道地方では未だ強い勢力を維持しているということがわかりました。そういえばゴンザの好きな北海道ローカル番組「水曜どうでしょう」で、大泉洋が「サビオねえか?」と言っていたような気がします。「シェフ大泉 夏野菜スペシャル」で。
また、瀬戸内のあたりや長野県などの内陸部でもわりとサビオが通じる地域がある、という情報も入手しました。
さて、関東育ちのゴンザが絆創膏をなんと呼ぶかというと、一番先に思いつくのは上でもでてきた「バンドエイド」です。

「バンドエイド」も「サビオ」と同じように商品名で、発売元はジョンソン&ジョンソン。
また、「カットバン」という名前もわりと普通に通じますが、これは祐徳薬品工業の商標名。

熊本を中心とした九州地方では、「リバテープ」という呼称が一般的で、これはリバテープ製薬という熊本に本社を置く会社が発売している絆創膏です。

さらに「OQバン(オーキューバン)」という名称も存在しますが、こちらはニチバンの登録商標。

テープ生産を主力としている会社の製品であるところが、他と一線を画します。王選手と坂本九ちゃんとで「王さんのO・九ちゃんのQ」というCMをやっていたそうで、ここまでくるとさすがにゴンザにも追いきれないほど昔の話です。
ふむふむ。だいぶ絆創膏界の歴史と風土記が見えてきました。つまりはこういうことです。
絆創膏国見聞録
絆創膏国では獅子帝の治める「サビオ帝国」が、全国に大きな支配力を持っていた。そこに名乗りを上げた豪族が「ニチバン族」である。「ニチバン族」は王将軍と九将軍率いる「OQ軍」によって「サビオ帝国」の切り崩しを図ったが、その勢力を弱めるにとどまり、「OQ軍」も大きな痛手を負った。一方九州の雄「リバテープ公国」は中央から離れた地の利を生かし、着々とその支配地域を確立していた。
「サビオ帝国」の繁栄に本格的なかげりが見えはじめたのは、2人のジョンソン提督に率いられた「バンドエイド共和国」海軍が浦賀に上陸を果たした時からである。共和国海軍はその機動性を生かし、次々とその版図を広げていった。また、その後九州に拠点を置く有力大名「黒木祐徳」の鍛えあげた「カットバン遊撃軍」が「サビオ帝国」の勢力範囲を奪っていった事実を忘れてはならない。
「サビオ帝国」は獅子帝の忘れ形見を擁して、北へ北へと逃げ延び、海を渡った先で新たな旗揚げを行った。しかし、すでにその勢力を取り戻すだけの力はなく、その後は北の地の支配を維持するだけにとどまった。
かくして『北はサビオ帝国が治め、東はバンドエイド共和国が広範囲に影響力を持つ。カットバン遊撃軍も虎視眈々と支配力の拡大を目指し、南はリバテープ公国が守る』という現在の勢力図が組みあがったのである。
サビオ帝国の版図は全盛期に比べて著しく狭まったとはいえ、人々の心の中にはなおも根強い支配力を持ち続けていると言われる。瀬戸内や内陸の地域には、帝国の恩顧を忘れぬサビオゆかりのものが潜伏していると囁かれており、獅子帝の影はいまだバンドエイド共和国を脅かしている。この島国を覆う伝統の不気味な力は、なかなか我々には理解しがたい。
(宣教師 ロドリゴ・エンリケ・ルチアーノ記す)

※この話はフィクションです。
[追記 2005.07.08.]
後の調査で新しい事実も判明してきました。
トラックバックを頂いた「ぽこ あ ぽこ」の情報によれば、「サビオ」という商品はライオンだけでなく、ニチバンでも発売されていた模様。しかも[提携:セデロース社(スウェーデン)、製造発売元:ニチバン株式会社]ってことは、「サビオ」自体がスウェーデンの会社の商品・商標である可能性が出てきました。
海外の会社と提携しての商品なので、ライオンとニチバンという違う会社で同じ名前の商品を出すことが出来るのかもしれません。また、NCM-NETの資料によれば、
1948(昭和23)年:現在のニチバンにあたる日絆薬品工業が「救急絆創膏」(布製絆創膏にガーゼを貼り付けたもの)を発売
1959(昭和34)年:J&Jが「バンドエイド」を発売
1963(昭和38)年:ニチバンが「サビオ」発売
1975(昭和50)年:ライオンが「サビオA」発売
となっています。
??? わからん。どうも絆創膏のくさわけはニチバンのようですね。バンドエイドのほうがサビオより発売自体は早いのか……。
「サビオ」「サビオA」「サビオS」の違いは何でしょう? ライオンのサビオ発売は実は1975年と遅かったのでしょうか? 当初はニチバンが「サビオ」を発売していて、ライオンがその商標を引き継いだのでしょうのか?
謎が謎を呼びます。そして迷宮入りの予感がします。
また、地方によっての呼び方の違いについては、広島大学で真面目に調査したことがあるそうで、広島大学 学校教育学部 高橋(顕)研究室のページでその内容が分かりやすく視覚化されています。おお……やっぱりサビオは北海道と広島あたりで強いのですね。
[追記 2006.09.21.]
毎日新聞のニュースサイトで、この「絆創膏の呼び方の違い」が取り上げられました。より詳しい勢力図や、サビオのライセンスの変遷などが分かりますので、どうぞご覧ください。
⇒ 毎日インタラクティブ<呼び名で分かる:地域編 出身地を推測できる「ばんそうこう」>


私も、すぐに何のことかわかってしまった…
でも、誰が言ってたんだろう…サビオって。
自分で言った記憶はなく…
子供の頃に「へぇ、サビオってバンドエイドの事なんだ」って思った記憶が…
誰だろう…婆ちゃんかなぁ…
なんだか、私は乳酸飲料の名前かと思っちゃいました。♪乳酸菌が入ってお腹に優しいサビオ♪とかさ。
面白いので、横浜にあるわが社でちょっと調査してみたいと思います。結果は、別途報告しますね、ゴンザ隊長!
初めてのトラックバックです。
なんだか嬉しくてコメントさせていただきます。
またサイトをじっくり拝見しにきますね♪
ところで、後半の「歴史っぽい記述」は「カノッサの屈辱」を意識してます。(わかるかなー?)
お話面白いですね♪
こちらもトラバさせていただきました!
それにしても絆創膏一つとってもこんなに違うってのは本当に興味深いなぁ〜
だから日本て面白いって思います、アタシ
ではでは
TBありがとうございました。
ゴンザさんの記事を拝見させて頂いたところ・・・
o(>▽<)oギャハハハ〜超面白いですね〜!
ぽぱいの記事なんて屁みたいなもんですよ。
ここまで追求されていたとはっ!おそれいりました。
ゴンザさんの「ゴンザぁ、ここらへんに、サビオねえかなぁ?
」と・・
ぽぱいの「あらあら大変、今サビオ持ってくるから待ってなさ
いよ」を言われた時の気持ちは一緒ですね〜。
ちなみに、私は関西に住んでおりますが、周りはバンドエイドと呼ぶ人が多いですね。
“絆創膏国見聞録”、、おもしろかったです!
>茉莉さん
こんなものにまで「方言」があるってのは面白いですよね。ゴンザの住む静岡では定規のことを「せんひき」とも言います。ゴンザはそれほど「せんひき」に違和感ないんですが、やっぱりこれも方言の1つらしいですね。
>ぽぱいさん
静岡で暮らし始めて、始めは戸惑うことばかりでした。思ったより方言はあるし、土地勘はないし。やっと慣れてきたなあ……と感じていた頃にこの「サビオ」に出会ったので、「なんと!また知らないことだよ!」とショックだったのを覚えています。
>じゅんぽうさん
サイトを拝見しましたら……えっ、サビオってニチバンでも発売してたの!?と驚愕してしまいました。ライオンだけだと思ってました。
むむむ? 「サビオ」ってどっちが一般的なんだろう?
なんか、余計に謎が深まったみたいですが‥;
また、何か解れば寄せてもらいます!
では、失礼します〜。
家のばあ様は さびょお〜 と言ってますけど
これって名古屋弁?
一応 住まいは、愛知県ですけど
http://www.linkclub.or.jp/~keiko-n/go.html/dosanko.html
http://pucchi.net/hokkaido/knowledge/sabio.php
また、上のじゅんぽうさんのブログ「ぽこ あ ぽこ」
http://junpou.exblog.jp/1165527
の記事によれば、サビオという商品がスウェーデン生まれである可能性があるので、実際はスウェーデン語であるのかもしれません。
「さびょお〜」と発音するおばあさまは、実は名古屋人ではなくスウェーデン人である疑いが濃厚です。ぜひ調べてみてください。もしそうなら、ろこさんは、めでたくスウェーデン系クォーターです。
ついでに「イニシエーションラブ」についても読みました。すごいっっっ!この本には私もヤラレタと思ったので、ゴンザさんが整理して書いていてよくわかりました。ありがとうございました。
トラックバックいただきました。
サビオやリバテープという呼称について、研究されている方がいらっしゃるんですね。
ちなみに、輸入ものの医薬品類は製造・発売元が変更になるケースというのは、割とよくあるようです。
頭痛薬のサリドンは、スイスのロシュという製薬会社(中外製薬の親会社)の製品ですが、
以前はシオノギから発売されていましたし、
現在はゼファーマという会社が作っています。
http://www.zepharma.com/index.html
サリドンの例、なるほどです。ってことは、
絆創膏の草分けの会社・ニチバンがセデロース社と提携して「サビオ」を販売し、それなりのシェアを築く。
↓
その後セデロース社との提携はライオンとのものに変更になり、サビオはさらにシェアを伸ばす。
↓
ニチバンはオリジナルブランド・OQバンを発売。
というような流れなのかもしれませんね。単なる「サビオねえかあ?」のエピソードから日本経済史に迫るお話になりました。これだからブログは面白い。
ご挨拶もせずにいて、すみませんでした。
しかも間違って2回もトラックバックしました‥ごめんなさい。
絆創膏の呼び方については
ゴンザさんのblogが一番まとまっていて、解り易く、面白いです。
大変参考になりました。ありがとうございました。
それから、大ウソを入れる、のですか?
それこそまことしやかに信じられてしまいそうなので
入れない方がよさそうな‥?
サビオ・・・最近になって初めて知って
カルチャーショックでした。
それでいろいろ検索しているうちにたどり着きました。
ココのリンク貼ってもいいですか?
おやまあ、ずいぶんご丁寧に。こんな記事のリンクでよろしければ、けっこうですよ。バシバシどうぞ。
日本はこんなに狭いのに、カルチャーショックがけっこう頻繁に味わえますね。北海道方言・名詞編で他に有名なのは「ザンギ」かな?
岡山出身の彼氏と、「サビオ」か「バンドエイド」かでもめたこともあり、ここのブログを知りました。
この分布地図と、中世ヨーロッパ史のような分かりやすい解説がおもしろいです。トラックバックさせていただきました(^^
ふーむ。やっぱり岡山あたりの瀬戸内地域には「サビオ残党」が命脈を保っているんですねえ。
この「中世史」になぞらえた解説というのは、上でも書いているんですが、昔フジテレビで放送されていた深夜番組『カノッサの屈辱』のノリをパクったものです。当時私は受験生で、しかも社会学部志望だったこともあり、めちゃくちゃ面白かったなあ。
CS放送などでは今も見ることが出来るらしいので、機会があったら見て欲しい番組です。私のオススメは「思想史」になぞらえた「クイズ番組史」です。
自分の両親は、コテコテの関西人ですが、自分は静岡生まれの静岡育ち。
友達に「サビオねぇ〜か?」と問いかけると、やはり「さび夫?、それは誰だ?」という具合。
関西人の両親が「サビオ」と言っていたので、友人に指摘されるまで全てが、「サビオ」だと思ってました。関西も「サビオ帝国」に治められていたのでしょうか?
それにしても、カノッサの屈辱的でかなり、ヤラレテしまいました。
最近はバンソウコウというようになってましたけど、確かに小さい頃はサビオと言ってましたよ〜!なんかなつかしいな〜
でもなぜ、瀬戸内と北海道なんでしょう??調べてみようと思います。
私が子供の頃にあったらしいのですが、物心ついた頃にはなかったので実物を見た事がありません。
ちなみにわたしは「カットバン」と呼んでいます。
チラッと話題に出てきました
「OQバン」と呼んでいました。
家族・親戚一同全てこの「OQバン」だった
ように思います。
多分親戚のおじさんが「ニチバン」に
勤めているせいだと思います。
もちろん「サビオ」って言います。
でもカットバンもバンソーコも普通に使います。
以前、東京に2,3年だけ住んでいた友人にサビオって言ったらバカにされました。カットバンも絆創膏もバカにされたので、その人は正式名称を知らないようです。
「はなかみ」(ティッシュ)もバカにされました。
自分は標準語しか話さないと思いこんでいる面白い友人です。
愛知県にず〜っと住んでる40代です。
小さい頃からやはり「サビオ」です。
でも我が子には通じません。
なるべく通じるよう「バンドエイド」と言ったりするんですが
とっさに「サビオ」と出てしまいます。
yahoo!ニュースから飛んできました♪
サビオやリバテープの実物が見れて嬉しかったです。
絆創膏国記も面白かったです!
yahoo!ニュースから飛んできました♪
サビオやリバテープの実物が見れて嬉しかったです。
絆創膏国記も面白かったです!
勝手に済みませんが、ブログで紹介させていただきました。