2012年06月17日

比較は手段であって、目的じゃない

私は映画や音楽、能に歌舞伎、人形浄瑠璃にクラシックバレエ、落語やお笑いライブなどを見に行ったりするのが好きですし、本も少女漫画から超ひも理論まで、節操なく読んでみます。

たぶん私のようなタイプの人間は、備忘録も兼ねて何を見たか読んだか記録をつけていることが多いでしょうが、私はあまりそれをしません。書くとしたら、面白かったとか、感動した、と言葉に出したいときです。つまらなかった、イマイチだったということは原則的に書きません。

そして作品に点数をつけるとか、順位をつけることも好みません。アマゾンや楽天レビューも「星いくつ」「何点」を求められるのがイヤなので参加しません。

最近、イヤだなと思うことのひとつに、何についても「ランキング」や「点数」をつけようとする流れが加速していること。「食べログ口コミ不正」や「オリコンランキングの無意味化」、「視聴率だけで計るTV番組の価値」などの問題の背後には、何でも数値化し、数直線上に並べて優劣を決めることへの反省の無さがあると、私は考えています。

確かに優劣を決めることが必要なこともあります。

例えば、直木賞受賞者を決めるとき、「どの作品も良いから……」などと言っていたら、選ぶことはできません。決定を下さなければいけないとき、選択を迫られるとき、優劣や順位をつける行為が必須です。

おそらく直木賞選考員の方々は、悩みに悩み、自分などが人の作品の優劣を決めてよいのだろうかと逡巡しながらも、一票を入れるのだと思います。優劣を決める行為というのは、とても苦しいこと、しんどいこと。そして決めるからには、それを選択した責任を取る覚悟が必要だというのが、私の基本的な考えです。

ですから、私は気軽に★評価や点数をつけることができません。どうしてもやれと言われなければ、点数など、順位などつけたくありません。会社で部下のボーナス査定をするなんて、本当にイヤ。「人」を数値化するなんて、絶対にイヤな行為です。


私が大学で学んだことのひとつに「比較」という手法の危うさがあります。何らかの研究テーマについて論じるとき、そのテーマだけを見ていると、テーマ自体が持つ特性、長所、短所などがはっきりと浮かび上がってこないことがある。そういうときに「比較」は力を発揮する。

例えば、日本語について論じる場合、漫然と分析するのではなく、英語との比較をすれば、その特徴が分かり易くなります。
英語が「I do」主語・述語と結論が先に来るのに対し、日本語は最後に述語が来る。さらに助動詞や否定形がそのあとなので、英語に比べ全文をみないと結論がわかりにくい。
こんな感じです。

他との違いを明らかにすることで、そのもの自体の輪郭が浮き上がってくる。「比較」の効果です。

ここで間違ってはいけないのは、「比較」はあくまでも手段であるということです。論じようとしているのは「日本語の特性」であって、「日本語と英語、どちらが上か」ということではないのです。

しかし、比較の意義を勘違いして、手段ではなく、無意識に「目的」に据えてしまうことがよくあります。

ある作家の本がある。読んだ。さて書評するか。同じ作者の「◎◎」という本よりは面白かった。でも同系統の「△△」という本には劣るかな。この2作品には、何点つけてたっけ? 60点と80点か。じゃあ70点だな。

比較が「目的」になってしまっています。それは違うだろうと私は思うのです。点数をつけるために本を読んだのではないはずです。何が書いてあったのか。何を感じ取ったのか。何を学んだのか。大事なのはそれでしょう。

すべてのものを評価する義務があるわけでも無いのに、酷評までする意味は何も無い。特に何も感ずるものが無かったのならわざわざ「駄作」などと言う必要はありません。

数値化と比較、順位付け。それは一種の社会的現代病だと私は思います。テストの点数。偏差値。年収。

比べること。比べられること。当たり前のようにやってはいけない、残酷な行為です。決定しなければならない、選択しなければならないという必要と義務に迫られなければ、意識的にさけるべきものだと、私は考えています。

私の好きな本
12204344.jpg『プチ哲学』 佐藤雅彦(古本)icon
「ドンタコス」や「モルツ」などのキャッチーなCMで名を馳せ、
「だんご三兄弟」のヒットをしかけ
「ピタゴラスイッチ」の監修を手がける当代一のクリエイター佐藤雅彦氏による
マンガ形式でのちょっとした「視点の変換」のススメ。


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posted by ゴンザ at 20:30 | 静岡 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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