2005年07月22日

【医療エッセイ】石との闘い(第5話/全5話) 治療篇

シリーズ連載記事です。できれば第1話からどうぞ。

■目次
 石との闘い 第1話 発病篇
 石との闘い 第2話 診察篇
 石との闘い 第3話 検査篇(前) 
 石との闘い 第4話 検査篇(後)
 石との闘い 第5話 治療篇   当記事


【医療エッセイ】石との闘い(第5話/全5話) 治療篇

検査後の治療はひたすら地味だった。
検査前も検査中も地味だったが、それをはるかに上回る徹底的な地味さだった。

検査によって、マイ尿管が保有するのは、直径7mmほどのおそらくシュウ酸カルシウムを主成分とする石であることが判明していた。

直径7mmというのは、
「患者が自力でなんとかする」
ぎりぎりくらいの大きさらしい。

「なんとかする」とは具体的にはどうするのか。

1)水分を多く取る。
2)身体をひねる動きをする。
3)なるべく飛び跳ねる。

これらの努力により、尿管に詰まった石をボウコウにまで無事送り届ける、それが我ら尿管結石患者に課せられた使命なのである。

私はノンシュガーミルクティーをがぶ飲みし、モンローウォークをかましながら、ときおり飛び跳ねる怪しい男と化していた。

なぜこんなことをするかは、ホースが詰まったときをイメージすると分かりやすい。
勢いよく水を流し、ホースをひねり、上下に振ってみる。
治療というより「暮らし安心クラシアン」に限りなく近い。

石がボウコウに達することを、玄人は「おちる」と表現する。
ちなみに玄人とは、医者・看護婦・ベテラン患者のことだ。

【「おちる」の用例】
「まあ、おちましたか! おめでとうございます!」
(看護婦Aさんある日の一言)

用例からも分かる通り、「おちる」ことはめでたい。
「おちる」という言葉では稀有な例だ。
尿管結石患者なおかつ受験生という存在が少数であることを願ってやまない。

石がボウコウにまで達すれば、腎臓の痛みや炎症の心配がぐっと低くなる。
たしかにめでたい。

私の場合、たゆまぬクラシアン的努力により、検査してから1週間後くらいにめでたくなった。
あとは体外に排出されるのを待つ。
ぶっちゃけた話、おしっことともに石が出てくるのだ。

この間、ボウコウの中を石が刺激しているらしく、かゆいような、痛いような、くすぐったいような感覚がある。
トイレが近くなるくらいで、それほど日常生活には支障が無い。

石の中には、まれにきれいな宝石のようなものもあるらしい。
自分の中で作られた石は、どのような石だろう。
私のことだから、きっと美しいに違いない。

私はちょっと楽しみだった。
あの激痛の日々を経てきたのだ。
これくらいの楽しみを尿管結石患者が持っても、バチは当たるまい。

定期検診の日が来た。
レントゲンとエコーを当てた医者は言った。
「石は出たみたいですねー。おめでとうございます。」

…………あり?

あれほどまでに私を苦しめた石(直径約7mm)は、その劇的な登場とはうらはらに、静かに舞台を去っていったようだった。

こうして一抹のさみしさを残しつつ、私の闘病生活は幕を閉じた。

    ◇

2年の月日が流れた。

私は社会人になっていた。
寮として与えられたアパートの一室。
ふいに早朝4時頃目がさめた。

!!!
いで!いでででで!
いだだだだだだだだだだ!


やつは、また現われた。
やつは、ひそかに時を待っていた。
やつは、まだあきらめていなかったのだ。

私とやつの闘いは、終っていない。


<おわり>

■あとがき■----------------------------------

というわけで、無事エピソード5まで終了です。
みなさま、おつきあいいただきありがとうございました。

「腎臓・尿管結石」に関して補足させていただきますと、
・20代〜40代の好男子に多い。(→じじいだからなったわけではない)
・石があっても、邪魔な場所でなければまったく問題がない。
・石のできるメカニズムはまだ明らかではないが、
 高い確率で再発するため、体質に依存するものと言われている。
・私の2個目の石は無事おそとに出ている。
・しかしまだ2個ほど腎臓にある。

ということで再発におびえる日々です。

もし私が廊下で飛び跳ねていたら、
「ああ……あれか……あれなのか……」
と暖かい目で見守ってやってほしいと思います。
関係なく飛び跳ねているケースも含めて暖かく。

なお、このシリーズはセカンドシーズン「石との闘いR(全4回)」へと続きます。今度は「体外衝撃波破砕術」なる新しい敵と遭遇します。乞うご期待。

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■目次
 石との闘い 第1話 発病篇
 石との闘い 第2話 診察篇
 石との闘い 第3話 検査篇(前) 
 石との闘い 第4話 検査篇(後)
 石との闘い 第5話 治療篇   当記事

⇒ 続編の『石との闘いR

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posted by ゴンザ at 09:57 | 静岡 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 医療エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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